コムスはミニカー規格の超小型モビリティです。規格上は原付バイクと同じパワーしか出せません。
しかも車重は400kgもあります。普通考えてみれば車重400kgの原付バイクなんて坂道なんて満足には登りません。では、実際に満足に登らないのか検証してみましょう。
コムスのスペック
さて、コムスのスペックについて今一度整理してみましょう。
- 車重:410kg(ベーシック)~430kg(デリバリー)
- 定格出力:0.59kw(0.8馬力)
- 最高出力:5kw(6.8馬力)
- 最大トルク:40N・m
- 最高時速:60km
- 坂道発進:角度13°(23%勾配)
普通の原付バイクが大体75kg~80kg程度なので、比較するとコムスはとんでもなく重たいです。ちなみに今回走っているコムスはP・COMなので420kgの車重になります。
コムスの最高出力は5kw(6.8馬力)と普通の原付バイクよりは馬力があります。
最大トルクは40N・mと大体400ccの大型スクーターぐらいのトルクがあります。
坂道発進能力は23%勾配までOKです。23%勾配というのは1km走った時に230m標高が上がるような道路を言います。100mなら23m登る坂道です。こう思うとかなりの急坂だと思います。ちなみに2018年月にモデルチェンジがあり、その前のモデルでは19%勾配まででしたので、今販売している最新のモデルではこの検証動画で走らせている物(2017年モデル)より良くなっているかも知れませんね。
登り坂(ヒルクライム)
さて、登り坂を登ってみます。制限速度は40km/hの比較的なだらかなカーブの道路です。普通の車もちょうどこのぐらいの坂ぐらいが気持ちよく登って行くと思います。
動画を撮っているので検証してみます。
このぐらいの勾配だと制限速度+αで登って行きます。ペース的には後ろに車が数珠つなぎになる事はありません。
アクセルは70%~80%ぐらいでまだ余裕があります。余裕があるのですが、これ以上踏み込んでもそれほど速度は伸びてこないので、ほどほどのアクセル開度で走ります。
バッテリーやモーターが運転席より下にあるので安定してコーナーを回って行きます。
カメラをダッシュボードに固定していたので動画ではガチャガチャ言ってますが、乗っているとモーターの利点でエンジン音が無いので走っていてとても静かです。暖かく天気のいい日は窓を開けて走ると程よく風が入ってきて最高に気持ちいいです。
チョット勾配がきつくなってきましたが、それでもこれぐらいなら制限速度を下回る事はありません。
モーターはトルクがあるので、このように継続的に力を出すような場面ではとても有利です。ほとんど軽自動車ぐらいのペースで登れる事がわかって頂けたと思います。
見た目の坂道を登ると遅いんじゃないかというイメージはこの動画を見る限りでは無いと思います。必要にして十分なパワーです。
下り坂(ダウンヒル)
次に登りと同じコースを下ってみます。こちらも動画を撮っていますので検証してみます。
下りですので、パワーに関しては問題ありません。制限速度には簡単に達してしまうので、+αの速度を維持しながら走ります。
コムスのモーターは回生ブレーキを装備していますので、アクセルを離した瞬間からエンジンブレーキのように減速が始まります。普通のエンジン車と違う所は、エンジンではエネルギーを消費しながら減速しますが、モーターによる回生ブレーキだとエネルギーを回収しバッテリーに充電しながら走る事が出来るところです。
ずっと坂道を下っていますが、その間は常に充電しながら走っていますので、バッテリー消費は殆どありません。というより充電されていますのでバッテリー残量のメーターは全く減りません。
電気自動車ならではですが、登りは物凄く電気を使いますが、下りでその分エネルギーを回収しますので、実際には平地を走るのとあまりバッテリー消費に違いがありません。
下りでは制限速度を守っていえばコムスの低重心ボディを活かして面白いようにコーナーを回って行きます。
車体の幅も狭いので、コーナーの端から端まで余裕をもって最短距離を走って行きます。
アクセルを離すだけでエンジンブレーキの様に回生ブレーキが効いてるのでほとんどブレーキペダルを踏むことはありません。ブレーキペダルを踏むとさらに強い回生ブレーキが効きますので一気に速度は落ちていきます。
あれよあれよとコーナーを回って行くともう街まで降りてきました。
まとめ
コムスはハッキリって車重から見たらパワー不足です。それはミニカー規格であるため致し方ないのですが、それを補うのがモーターのパワーです。
モータは低回転から最大トルクを発生する特性を持っていますので、重量物であるコムスを走らすのには相性が良いです。よく言われるコムスがモーターでは無くエンジンであればと言う声があるのですが、それは航続距離を延ばすためには有効ですが、いざ走りの面で言うとエンジンは低速トルクが低いので多分走らない車になる気がします。
登りの動画を見てみるとわかるのですが、かなりキツイ坂道でない限り軽自動車ぐらいの速度で登って行きますので、後続車にはそれほど迷惑はかからないかとは思います。少なくとも制限速度は十分キープする感じです。コーナーがある程度続く場合は車幅が狭いのでほとんど減速することなく旋回できるので、一般車より早いぐらいです。
下りは車体の小ささと、重心の低さを活かしてミズスマシのように山道を下って行きます。油断は禁物ですが、制限速度を守っている範囲では危ない場面はありません。
ブレーキも良く効きますので危険回避能力も高いと思います。
コーナーでは車幅の狭さを生かしてアウトインアウトで下って行きますので、普通の自動車より走りやすいと思います。
多分見た目からくるコムスのネガティブなイメージの上位に来る”パワーが無くて山道だと邪魔になるのではないの?”を検証してみました。
私はそれほど邪魔になるイメージは無いのですが、如何でしょうか?
ちなみにどれだけ電気代がかかったか計測してみました。
今回のドライブで36.8km走って67円の電気代(1kWh当たり22円)ですので、1km走るのに1.82円しかかかっていません。
いつもの街中で走る場合と電気代と違いはありません。電気自動車にとって山道を走って同じ分だけ下ると殆ど平地を走るのとコストが変わらない事がわかって頂けると思います。