超小型モビリティであるコムスは道路交通法の規定で決められたミニカーですが、ミニカーとはどのようなものでしょうか?
ここではミニカー登録に関して説明してみたいと思います。
ミニカーは自動車?
ミニカーは玩具であるミニカーと間違われる場合があるかもしれませんが、「道路交通法」ではっきり自動車である事を規定されています。
道路交通法施行規則 別表第二(第十九条関係)
「総排気量については50cc以下、定格出力については0.6kW以下の原動機を有する普通自動車」
乗車定員は1名、最高速度は60km/hと定まれており、オートバイのようにヘルメットの着用義務や、原付バイクのように二段階右折の必要はありません。三輪と四輪では若干規定が変わりますが、三輪で言えば後輪の幅(トレッド)が500mm以上の三輪以上の車となっています。この規格を絶妙にクリアしたのがホンダのジャイロキャノピーを改造して後輪の幅(トレッド)を広げたものがあります。
ホンダHPより
たまに酒屋のヤンチャな店主が配達に使っていてヘルメットをかぶっていない光景を見たことがあると思いますが、あれです。メーカーのホンダではミニカー仕様のジャイロキャノピーは販売していませんので、規格に合わせて改造している物です。ミニカー登録のややこしいところが、「道路交通法」では自動車扱いですが、「道路運送車両法」では原動機付自転車として扱われます。登録は市町村でのミニカー登録が必要で水色のナンバープレートが付きます。
運転するための免許ですが、道路交通法では自動車なので原付免許ではなく、普通免許が必要になります。
ミニカーは2019年5月の時点で93,873台登録されています。コムスが7000台以上販売されているとはいえコムス以外の車種が沢山ある事がわかります。
ちょっと特殊な自動車ですが、JAFでのロードサービス対象車種でもあるので、最悪出先で動かなくなっても安心です。
2004年よりミニカーも対象車種に「JAFのHPより」
コムスのほかにどんな車があるの?
昔を知る人はバブル時のミニカーブームが記憶にある方がいらっしゃるかもしれません。
こちらは原付バイクにプラスチックのボディを乗せた簡易的な車で、原付免許でも乗れたのですが、最高速度が30km/hに制限されていたために交通の邪魔になったり製造技術の無いメーカーが参入して作っていたこともあり危険な物もありました。
1985年2月に現在のミニカーという区分が出来た時には最高速度が60km/hに引き上げられた代わりに自動車として扱われるようになったため、普通自動車免許が必要になり、売り文句であった手軽さがなくなると急速に市場がしぼんできました。
それから光岡自動車が趣味性のある「マイクロカー」シリーズとして数台ラインナップしたぐらいでほとんど市場に出ていません。
最近ではタイのタクシーである「トゥクトゥク」タイプ電気自動車、ジープタイプの車「next cruiser」やイタリア製の「BIRO」と呼ばれる物が新たに発売されたぐらいで、市販されている物は多くありません。
イタリアのエストリマ社の「BIRO」です。
このミニカー登録を行かした乗り物の中で多分皆さんが知っている物でご存じなのが「マリカー」と呼ばれるカートを改造した物があるのですが、最近保安基準が改定されたのとあまりよろしくない報道もありカートでの登録は下火になっています。
ミニカーのメリットは?
調べれば調べるほど中途半端な印象のミニカーですが、小さな車体と逆に中途半端だからこそ様々なメリットがあります。
まずはコスト面
- 購入時にかかる税金は消費税のみ
- 毎年かかる税金は3,700円程度
- 重量税不要
- 自賠責は5年で18,000円程度
- 車庫証明不要
- 車検不要
- 任意保険は所有している車にファミリーバイク特約(年間10,000円ぐらい)でOK
- 車両保険も格安(コムスで年間20,000円ぐらい)
- 登録も役所で販売証明書と必要書類の記入でOK
と原付バイクとほぼ同等の経済的なメリットが受けれます。車庫証明も不要なので、車体の小ささを活かして都会の軒下でバイクスペースが2台分あれば十分駐車することが出来ます。
運転している時のメリットは
- 制限速度は60km/hまで
- 二段階右折不要
- 原付不可の陸橋も走行可能
- サイズからくる取り回しの良さ
- 駐車スペースも狭くても大丈夫
とほぼ自動車として取り扱われ、原付バイクのデメリットである制限速度30km/hの制限もなくなり。二段階右折も必要ではありません。都会であればあるほどその利便性を享受出来ます。
こんな感じで車体が小さいメリットを生かして大型スーパーの小さな駐車スペースでも駐車できます。
ご覧の通り、オートバイの駐車スペースと同じところに止めれます。
軽自動車より小さな超小型モビリティ、四輪車なので普通自動車の駐車スペースで駐車する事が普通なのですが、実際は小さな車体を利用して色々なスペースに駐車することも出来ます。今後認可されるであろう超小型モビリティ(超小型車)が普及したときに考えら[…]
年間コスト
ミニカー(コムス)を所有することにより発生する1年間のコストを計算することにします。1年間に発生する電気代以外のコストについてまとめてみました。
税金
軽車両であるコムスは毎年3,700円の軽自動車税を納税します。こちらは原付バイクと同じく市町村役場より納税通知書が送られてきます。普通の自動車にある重量税はありません。
保険代
コムスはほかの車両と同じく自賠責保険料を払わなけらばなりません。こちらは契約年数によって変わってきます。
1年:7,500円 | 2年:9,950円 | 3年:12,350円 |
任意保険に関してはコムスは原付バイクと同じ考え方なので家族で自動車を所有している場合は「ファミリーバイク特約」が使えます。こちらは自動車の契約によって金額は変わると思いますが、大体10,000円ぐらいかと思います。又、特約扱いですので年齢制限もありません。
ちなみに車両保険も付けることが出来ます。我が家の場合21歳以上保証の限定契約で年間16,000円となっています。車両保険が格安なのは原付バイクと同じ扱いのためみたいです。同じ車両価格の軽自動車だとこれだけ安くはありません。
軽自動車とのコスト比較
軽自動車とミニカー(コムス)の維持費を計算してみました。
※スマホでは横スクロール出来ます。
軽自動車(ダイハツ:ミライースの場合)
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
ミライース(自家用) | 842,400 | ||||
諸費用 | 35,610 | ||||
自動車税 | ¥6,900 | ¥6,900 | ¥6,900 | ¥6,900 | |
保険(21歳以上車両無し) | ¥60,000 | ¥60,000 | ¥60,000 | ¥60,000 | |
車検 | 60000 | 60000 | |||
ガソリン代(年間5000km 燃費20km | 12,000 | 12,000 | 12,000 | 12,000 | 12,000 |
オイル交換(年1回)2年に一回フィルタ交換 | 2,800 | ¥3,800 | ¥2,800 | ¥3,800 | ¥2,800 |
年間維持費 | 892,810 | ¥82,700 | ¥141,700 | ¥82,700 | ¥141,700 |
累計 | ¥975,510 | ¥1,117,210 | ¥1,199,910 | ¥1,341,610 |
コムスの場合
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
コムス | ¥863,010 | ||||
自賠責保険料(5年で計算) | ¥16,990 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
自動車税 | ¥0 | ¥3,700 | ¥3,700 | ¥3,700 | ¥3,700 |
電気代 1km当たり2.2円(年間5000㎞) | ¥4,400 | ¥4,400 | ¥4,400 | ¥4,400 | ¥4,400 |
任意保険(ファミバイ特約) | ¥12,000 | ¥12,000 | ¥12,000 | ¥12,000 | ¥12,000 |
年間維持費 | ¥896,400 | ¥20,100 | ¥20,100 | ¥20,100 | ¥20,100 |
累計 | ¥916,500 | ¥936,600 | ¥956,700 | ¥976,800 |
車両価格が高いので1年目は軽自動車より上回りますが、2年目以降はコムスの方が維持費は安いです。任意保険料がコムスの場合はほかに車があればファミリーバイク特約が使えますので格安ですが、軽自動車だと普通に掛かってくるのでその分維持費に上乗せされます。
日々の点検は必要ですが、車検は必要ないので、その分費用は大幅に抑えられます。5年目の車検の時には軽自動車¥1,341,610に対してコムスは¥976,800なので36万円近い差額が発生します。
保管場所である車庫に関しても、軽自動車でも車庫は必要ですので、自宅に駐車場が無い場合は年間10万円以上の維持費が追加されます。
こうやって見るとコムスの経済性の良さが見えてきます。
ミニカーの今後
今後ミニカーはどうなるか、現在「超小型モビリティ」という新たな枠組みで軽自動車よりも小型の自動車の規格を決める議論が行われています。
ミニカーの規格をもう少し拡充した形で、現在一人乗りしか認可されていない乗車定員を2名にしたり、原付第二種と同じ出力まで可能とするなどもう少し利便性を高めた形で規格を決めようとしています。
現在では社会実験として一部の地域で試験的に行われており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが始まる頃には規格を決め量産化まで行いたいということですが、なかなか議論は進みそうにはありません。
超小型モビリティについて国土交通省HP
トヨタ自動車からは新しく超小型EVと呼ばれる物が2020年には市販される予定ですが、こちらはミニカー登録では無く、別の新しい軽自動車の一規格として認可されそうです。
トヨタ自動車が2019年東京モーターショーに出品する超小型自動車の試作車を発表しました。 満を持して発表された超小型車、2020年の冬発売を目指しているとのことですが、ちょっと早いですが、写真と報道を見て色々予想してみました。 […]
ミニカーはその後も継続して残りますので、コムスもミニカーとしての規格で販売されるようです。